『恋するインテリジェンス』の性描写革命
先に断わっておきますが『恋するインテリジェンス』がいかにシャブいか熱烈に語るのでめちゃくちゃ長文になります、申し訳ありません。
結論: 『恋するインテリジェンス』を読もう!
ですので、お時間のない方は太字だけ読んでおいてください。
恋するインテリジェンス (バーズコミックス リンクスコレクション)
- 作者: 丹下道
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/06/24
- メディア: コミック
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あらすじ⇒ 某国外務省では「夜の特訓」が秘密裡に行われている。針生は同期の戸堂とその訓練を行うが、あまりの無垢さに暴走してしまい…! ?
―――幻冬舎リンクスを読んでいて否が応でも目にとまるページがある。
そ!れ!が!
俺たちの丹下 道先生ダァアアア!!!!
処女作『恋するインテリジェンス』1巻は2014/6/24に発売され、その年の「このBLがヤバイ!」19位にランクイン。同人での名声も(少なくともこの名義では)無く、どちらかというとマイナーめなレーベルから全くの無名新人作家が入賞することがそもそもスゴイ。
以下、ネタバレ下ネタ注意。
まず1巻に収録されているのは
表題「恋するインテリジェンス」の針生篤(はりゆう あつし)×戸堂眞御(とどう まお)。表紙左が攻め、表紙右が受け。
「数式は鷹に恋をする」の土門統英(どもん のりひで)×志山円(しやま まどか)。
「そんなあなたが好きだから」の松菱桐次(まつびし とうじ)×世古(せこ) 下の名前は不明。の3つのCP。
1巻が発売になった頃、話題になっていたのは知っていましたが、表紙がシリアス系っぽくレーベルもリンクスだったので(私はリブレ推しです)、一旦はスルー。そして2巻が発売されてから「続編が出るほど人気なのか?」と手に取ってみたら……。なぜもっと早くに読まなかったのか後悔!
「恋するインテリジェンス」は外務省が舞台。
「数式は鷹に恋をする」は財務省が舞台。
2巻に掲載の「愛と狂気のラボラトリー」は厚労省が舞台。
これらをまとめて“官僚シリーズ”という。後述しますがこの “官僚シリーズ”は丹下先生の魅力が大爆発していて、2015年6月現在もリンクスで連載が続いています。
端的に言えばキレイめアホエロ!
しかし『恋するインテリジェンス』のスゴさはそこだけじゃない!!
この性表現がヤバイ・オブ・ザ・イヤー
そして何より端整な絵柄なのにスポーツセックス!溢れる疾走感!腰の振りに集中線つくってどうなの!?ギャップがありすぎてもはやシュール!!BL漫画読んでこんなに笑ったの初めてかも。
これ、なんだと思う?
眞御プルーンの体液だよオオオオォッッッ!
(※著作権者様からの申し出があれば即刻削除いたします)
強烈なフェティシズムを感じませんか。液体の躍動感。もはや執念に近いものを感じます。このページ以外にも思わず2度見、3度見した液体描写がありました。
先生の描き込みが素晴らしすぎて、この衝撃を伝える術が画像を実際に見ていただく、しか思い浮かばなかったのです…。ちなみにワールドワイドウェブに載せるにはあまりにも受けの眞御ちゃんのあられもない姿が御開帳!だったので、液体部分以外は白塗りしてあります。本物はご自身でご確認お願いしますね。
あと、独特な断面図表現?空間の見せ方?にも刮目せよ。
特に2巻p.68にある指の侵入描写。垂直断面図といえばいいのでしょうか…?眞御のアナルは亜空間なのか??普通のエロ漫画の断面図って平行断面図じゃないですか、保健体育の教科書に載っているような。そうじゃなくて腸内からのカメラアングル(?)なんですよ。
これは実際に読んで自分の目で確かめてくれ!たのむ!って感じなんです本当に。
長いことBL漫画を読んできましたが、最初は意味がわからなかった、マジで。いや、今でもこの解釈に自信がない。もし読了済みの方がいれば是非、意見をお聞かせください。
登場人物のエリート感がガチすぎる
- 省庁から高偏差値の大学にリクルートにくる(2巻p.111)
- イスラム圏の王子主催パーティでハラルフード*1をふるまう(2巻p.27)
などなど。言葉は悪いですが、普通の脳直エロ漫画との違いは設定の作り込み方では!ここからは勝手な邪推ですが丹下先生はきっと、きちんとした学歴をお持ちの方なのでは……と。
よしながふみ先生の作品を読んでいると、不思議と教養の深さが感じ取れますが、それと近しいような。まあ真相はどうでもいいのですが、読み手にそんな疑問を抱かせてしまうほど設定が細やかなんですよ!
眞御「君が危ない時に今日のように助けに行ってもいいんだろうか」
針生「それはダメだけど 俺側の意見では絶対許せないことだけど今話し合っても同心円状ぐるぐるするだけだから 徐々に円の縦横比とか角度とか二人で変えていこうね」
このセリフを読んでいただけると分かるように、寛容を知っている人間の言葉ですよね。懐の深さを感じずはいられません……。
『恋イン』を一躍有名にした政府公認お仕事えっち
(1巻p.12より ※句読点はこちらで適宜つけさせてもらいました)
この国の外務省では原則女性分析官の色仕掛け任務は、リスクが高すぎるとして禁止しているが、男性分析官に限りその任務を許可し組織として独自の訓練を行っている。ただし表向きのセックスまで完遂するのは禁止。
――そう表向きは
実習参加者は入省ニ年目の分析官の中から、特別人事課が独自のデータに基づき選出する。参加者はトップキャスト(TC/男側役)とボトムキャスト(BC/女側役)に分類されバディを組まされる。受けるか受けないかは任意。実習はA市のI倉公館の近くにある一見オフィスビルのような政府施設の地下で行われる。ホテルのような室内。窓はなく壁は完全防音。唯一のドアは遠隔開閉式で、実習が終わるまで中から開けることはできない。そしてそこで行われる実習の詳細はトップシークレット。本部が指揮する実習は初めの一回のみ。そのあとは各バディに任せられる。
つまり組織公認で訓練という名目のもと
いつでも合意で性的なことができる関係になるということだ
『恋するインテリジェンス』は文字数の多さも特徴的。あれ?デスノート読んでんだっけ?ってくらい文字ボリュームあるページもあります。太字のところに書いてあるように、つまりお仕事セックスができるってこと!
丹下先生にはカリスマ性、ある種の狂気が備わってると思うんですよ。
近年のBL漫画界の成熟により、ある程度のパターン化し似通ってくる話。BL作家賢人たちが残した型を洗練させ新たなストーリーを生み出すことの難しさ…。
ピアスでもないのにこの設定を商業で通したのってスゴくないですか!?
最後に
早口で自分の好きなものについてまくし立てるオタクになってましたね!ちょっとクールダウンして、今まで分析と考察に文字を割いたので萌え語りを少し。
私が一番好きなのは2巻に掲載されている「愛と狂気のラボラトリー」のCPです。食ザー栄養剤が実現しなかったのは残念なような?!?官僚シリーズは受けが健気ウブ可愛いのが非常にいい。
恋するインテリジェンス (2) (バーズコミックス リンクスコレクション)
- 作者: 丹下道
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/04/24
- メディア: コミック
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もうね、お手上げです。
毎日読んでます『恋するインテリジェンス』。細かい描き込みをみていくと次々発見があるので毎日読んでいても飽きません。疲れた底辺ホワイトカラーの私をKヶ関の頭脳(と書いてインテリジェンスと読む)が癒してくださるわけです。元気でます。
ありがたすぎる…✝
たとえばイエス・キリストが民衆の前に降臨されたとき、人々は躊躇うことなく「おお、神よ…」とその存在を疑うことなく跪くという。丹下先生の作品を読んだ今、わたしは神の身許にひれ伏す愚民の気持ちが痛いほどわかるのです。(ぐるぐる目)
他に気になる点として、丹下先生って情報リテラシーが高いのか何もネット上に情報が出てこない。
普通は同人の履歴とか残ってますってば!いや私の検索能力が低いのかもしれないですが……。
今どきのBL作家さんは告知用SNSやブログをもってる場合が多いので、だからこそ巻末スケジュールにはすごく助けられます。あれがないと丹下先生情報が全く分からないので…。ありがたや。おかげさまで今ではリンクス読者です。
ちなみに、『恋するインテリジェンス』3巻発売まで待ち切れずリンクスのネタバレ感想を随時更新してます。
発売から2週間以内にはあげるようにするつもりなので、こちらもぜひ。
大洋図書のハーツか竹書房の麗人で連載してくれないかな~絵柄的に。花音で連載はじまるようなので、早く一冊にまとまってほしいですね。
生きる糧になるような、いいBLをごちそうさまでした!
*1:ハラルフードとは:イスラム教の律法にのっとった食べ物。ハラルは「許された」「合法の」を意味する。ミルクや魚、野菜や穀類のほか、イスラム教の作法に従って処理された牛肉や鶏肉などが当たる。(2007-06-07 朝日新聞 夕刊 1社会)